これは
セイと長く一緒に
育ってきたが故の
経験からくる
勘、みたいなモノで。
「高級ホテルなら
カード、使えると思うけどッ」
私はセイに
さらに食い下がってみるッ。
「カードを使うと
そこから足がついて
警察に
俺達の行動が
筒抜けになるかも
しれないだろ」
俺はまだ
調べておきたいコトが
あるから、って
「ほら、時間が勿体ないだろ」
セイが長い足で
私のお尻をドアへと
押し出した。
さっきから
時間、時間、って。
そりゃあ
一刻も早く
あの子を救ってあげたいのは
私だって同じ気持ちだけど。
「コンビニ、って
どこにあるのよッ」
しかたなく
ドアを開けると
「受付にいた店員に
教えて貰え!」
それくらい
アタマを働かせろと
言わんばかりに
セイが個室のドアを
乱暴に閉めようとするッ。
「いくら下ろせばいいのッ」
ドアを押し返そうとして
「全部だ!」
バンッ、ガチャッ。
もう少しで
私はドアに
顔を挟まれるトコロだったッ。
「…カギ閉めたなッ」
まったくッ!
それが
ヒトにモノを頼む態度
なんでしょ〜かッ。
「うるさいぞ!
静かにしろッ」
…個室のあちこちから
罵声が飛んできてッ。
セイにはひと言
返してやりたかったけど
不本意ながらも
私はそそくさと
その場を退いた。