暗証番号の上下を
慎重に確認して。


「まずは千円!」


ここまでは
確かに順調で

何も問題なく
進んでいたのにッ。


「何じゃ
コレはあああああッッッ!!」


私の声が
コンビニ中に響き渡った。


…残高が
五百万って印字されてるのは
気のせいでしょうかッ。


「お客さん?」

レジから店員さんが
こっちを覗き込んでいる。


「あ、いえッ。何でもツ」


取り繕って見たモノの
顔は引きつったまま
戻らないツ。


…五百万なんて

セイは今日1日で
使い切るつもりなのかッ。


いくら”超”がつく
高級ホテルでも


1泊そんなに
するモノなのかッ。


「あの〜…」

私は勇気を出して
店員さんに訊いてみた。


「高級ホテルで
1泊、五百万円もする部屋って
あるモノなんでしょ〜か?」


「……」
「……」

私の質問に
レジの中の店員さん同士が
目を合わせてるッ。


「あ、いえッ、いいんですッ。

すみませんッ」


私はそそくさと
ATMの前に戻ろうとした。


「あるんじゃないの?」