「…持って帰って
やろうじゃないのッ」
私は決死の覚悟で
ATMに向かったのにッ。
何百万も
一度に下ろせない、って
ATMまで
私を嘲笑っていてッ。
「セイは絶対
知ってたよねッ」
サイテーッッ!!!
カッカしたアタマで
私は一度に下ろせる
限度額いっぱい
何度も何度も繰り返し
お金を引き出していたらッ。
「あれッ」
ATMの様子がおかしいッ。
「お金が突然
下ろせなくなりましたッ」
「本気で五百万下ろそうと
してたんだッ!?」
「こんな機械の中に
五百万も入ってるワケ
ないだろう」
って。
店員さんの呆れ顔ッ。
「て、ゆ〜か。
それ、ホントにキミのカード?」
「ビニール袋から
お金が透けて見えてるけれど
そんな大金持って歩いて
大丈夫?」
気がつけば
コンビニ中のお客さんが
こっちを見ていて。
「……」
私はビニール袋を
くしゃり、丸めて
コートの中に隠すようにして
コンビニを飛び出した。
「セイのバカあああああ」
絶対に確信犯ッ。
私で遊んでるんだッ。
下り坂を全力疾走して
私はネットカフェに戻ったッ。