「セイッ、アンタって子はッ」


息巻いて飛び込んだ
個室の中には


セイではなく
店員さんがいて。


「あれッ」


部屋を間違えたかと
廊下に出て

私は部屋番号を確認する。


「お連れさんなら

キミがお弁当を買いに出た後
チェックアウトしていった
みたいだけど」


店員さんは

ポケットからメモを取り出して
私に渡した。


【父さんが
困ってるだろうから

父さんと連絡を取って
ケータイを返しに行け】

って。


セイは私を置いて
どこにいったんだあああああ。


「まだ契約時間内だから

からあげ弁当食べるなら
この部屋を使えば?」


私のコートの中から
見え隠れしていた
コンビニのビニール袋を
勘違いして

やっぱりお弁当を
買いに行っていたんだ、って

店員さんの
その目が言ってるッ。


「結構ですッッ」

ありがとうございました、って

私は現金の入ったビニール袋を
さらに強く抱え込んで

私はネットカフェを
後にしたッ。