「とにかく
セイを掴まえて
事情を説明させなくちゃッ」
私は歩きながら
パパのケータイで
セイに電話を掛けようと
したのにッ。
「…パパのケータイ。
ロックが掛かってるッ」
どこまで
セイは意地悪なんだああああ。
駅まで戻って
公衆電話を探して
セイのケータイに
電話を掛ける。
『トーコは今
どこから掛けてるの?』
なんて
それは
こっちのセリフですッ。
「駅ッ」
『じゃあ
お金はちゃんと
下ろせたんだ?』
電話の向こう
セイが笑っててッ。
「ホテルの名前は
わかってるから
このお金で
タクシーに乗ってやるからッ」
タクシーの運転手なら
場所も
知ってるだろうしね、って
セイを牽制してみせたのにッ。
『父さん。
外から掛かってくる電話を
取れなくて
不安だと思うから』
少しでも早く
届けてあげて欲しい、って
マジなトーンで
セイが私にお願いしてるッ。
「パパの暗証番号はッ!?
誰かから掛かってきたら
パパに教えてあげれば
いいだけでしょッ」