何の障害もなくなった坂道を
犯人が
駆け上っていくけれど
…何か足腰が頼りないぞッ。
追いつくと思った
その瞬間。
犯人が
点滅を始めた青信号に
気づいて
私を引き離す
チャンスとばかりに
イッキに加速するッ。
「逃がすかッ」
障害物がないのは
私にとっても
好都合な状態であるのは
変わりなく
私は
道路に置き捨てられていた
空き缶を
走りながらピックアップして
そのまま
アンダースローで
犯人の足元に
投げつけた!
「うおッ!?」
足元に空き缶が当たって
犯人が
足を絡ませツンノメル。
横から
飛び出してきた自転車の
存在も手伝って
犯人はその場で
おおきく尻もちをついた!
「観念しなさいッッ!」
「あぐおッ!?」
私は
オトコのアゴを
容赦なく蹴り上げる。
オトコの意識が
アゴに行ったのを
私は見逃したりは
しなかった。
オトコの腕から
ビニール袋を
私は勢いよく
自分の胸元へと
引っ張り込むッ。