そのままビニール袋を
抱え込んで

私はその場から
逃げ出そうとしたのに


「きゃ!?」

オトコに
コートを掴まれて

今度は私が尻もちを
つかされたッ。


「しつこいオトコは
嫌われるからッッ!!」


いい加減
諦めんかいッ。


私はトドメに

オトコの顔面めがけて
必殺技エルボーを
お見舞いしてやろうと
振り返って


「えッ」


オトコの行動に
我が目を疑ったッ。


一万円札がひらひらと

オトコの手によって
捲き散らかされててええええ。


「信じられないいいいい」


私は懸命に
散らばった一万円札を
広い集めるッ。


逃げ切る為に
あえて数万円の犠牲を
出したのかッ!?

ハタ、と気づいて
オトコの方に顔を向けると

オトコも懸命に
一万円札を拾い集めててッ。


「…何なんだッ」

このオトコの
意図がわからないッ。


恐いッ。

このヒトって

すっごい
ヤバいヒトかも
しれない…。


…ケータイさえ
ロックされていなければ

写真を撮って

警察に連絡が
できるのにッッ。


私はこの異常な状況に
カラダを固くする。