「…イッキに
カタをつけるかッ」
坂道に
スタミナ切れしたらしい
犯人の
肩が激しく上下している。
「武器も
持ってないみたいだしッ」
私は
前を走っていたオトコを
猛ダッシュで
抜き去ると
回し蹴りを
オトコの側頭部に
食らわした!
「ぐおッ!!!!!」
オトコのカラダが
ガードレールに
派手にぶつかる。
ガードレールに
もたれ掛かるようにしていた
倒れていたオトコの腹部に
もう一発
蹴りをお見舞いしようとして
ガゴッ。
鈍い音がした。
「…ったああい」
弱ってるくせに
どうして私の蹴りを
避けたりするのかッ。
ガードレールを
思い切り蹴ってしまった
私の足が
じいいい〜ん、と
無言の悲鳴を上げているッ。
「大丈夫ッ!?」
オトコが
その場にうずくまっていた
私の足に触れてきた。
「どうしよう。
怪我させたなんて
セイに知られたら
俺、殺されちまうううう」
って。
「…あの。
もしかしてアナタ
セイの知り合いなんですかッ」
「あ、ヤベッ」
…今更、口をつぐんでも
もう遅いですからッ。