「セイにいったい
何を頼まれたんですかッ!?」

「……」


「…怪我させられた、って

セイに言いつけても
いいんだけどお」


我ながら
こういう悪知恵が働くのは

セイの影響かと思う。


「それだけは勘弁ッ」

「だったら
全て白状しなさいッ」


気がつくと

私と犯人の間に
ハッキリとした
上下関係が生まれてて。



セイといっしょにいると

いつも
下の立場だったから


初めての
こういう立場に

何かスゴイ興奮するッ。


「…トーコちゃんを
足止めするよう

セイに頼まれたんだよ」


「どうしてッ!?」


「さあ、そこまでは
知らないけれど」


ネットカフェで
電話を借りるか

外で公衆電話を見つけて
電話をかけるだろうから


「電話を切った後

キミが
北方向の電車に乗ったら

そのまま見送る」


タクシーに乗ろうとしたり
ネットカフェに戻ってきたら


「足止めさせてくれ、って
言われてて」


…って

店員さんは必死で
言い訳してるけどッ。


「それがどうして
現金強奪なんて

過激なマネに
なるんでしょうかッ」