「だって
トーコちゃんは
ヌケてるのに
変なトコ慎重で
勘だけはいいから」
どういう
リアクションをするのか
素人には読めない。
「トーコちゃんに
考えさせる時間を与えずに
足止めするには
この方法が一番だ、って」
…全ては
セイの入れ知恵ですかいッ。
私を事件に
これ以上
首を突っ込ませない為の
セイの配慮、なのかも
しれなかったけど。
「セイはどれくらいの時間
足止めをしろと
頼んでたの?」
「2時間、かな」
…たったそれくらいの
僅かな時間で
セイは
事件を解決する自信が
あるのだろうか。
「…やっぱり
嫌な予感がするッ」
私はオトコから
現金を奪い返して
タクシーを拾おうと
勢いよく手を挙げた。
「トーコちゃん
どこへ!?」
「決まってるでしょ。
セイのいるホテルよッ」
「ネットカフェで
セイが見ていた画面なら
フェイクだからね」
タクシーに乗り込もうとする
私の腕を掴んで
店員さんが
意味深なコトを言う。
「フェイクって?」
「あれは
セイに頼まれて
俺が作ったニセページなんだ」
「……」
「お客さん。
乗るの?
乗らないの?」