ちいさな店内。

ウナギの寝床みたいに
やたら奥行きがあって。

壁の両方の壁の棚で
店の中はいっぱいで

ヒトが
やっとすれ違えるくらいの
スペースしかない。


丸イスに腰掛ける私の足元に
跪いていた
おじいちゃん薬剤師も

細いカラダを
一層ちいさくして

私の足を治療していた。


天井近くには
たくさんの写真。

古いモノクローム。

団体の記念写真なんかが
多いけど。


あれ?

「写真に写っている
ヒト達が着ている
この学生服…!」


「ああ、ここのオーナーは

こう見えても
セイと同じ学校の卒業生
なんだ」


テルさんが
おじいちゃん薬剤師を
指さした。


「こう見えても、って
どう見えとるんだ」

おじいちゃん薬剤師が
苦笑いする。


「だってさ。

ウチの学校を卒業したヤツって
みんな破格の出世
してるのに、さ」


え?


「そういうお前さんだって
学校を中退してから

ずっとまともな職にもつかず
フラフラしとるじゃないか」


…もしかして
このヒト達。

「セイの学校の先輩
だったんですか!?」


「…まあね〜」

テルさんは
気恥ずかしそうに答えてる。


「お前さんこそ
セイを知ってるのかね?」


「この子は
セイのフィアンセの
トーコちゃん」


テルさんが私を
おじいちゃん薬剤師に
そう紹介した。