「へ〜え。そう。ふ〜ん。
セイのねえ…」
嬉しそうにする
おじいちゃん薬剤師。
「セイを何だか
見直したなあ」
なんて。
何だか
こっちが赤面してしまうッ。
今まで
こんなのと
つき合っているのか、って
冷やかな目で
見られるコトが
多かったから。
「だけど、そのフィアンセが
どうしてテルなんかと
いっしょにいるんだい?」
「…それはッ」
テルさんは
これくらいの質問で
返答に困ってるけど。
…何だか違和感。
さっきまで
あんなにアタマの回転よく
私に切り返してきていたのに。
おじいちゃん薬剤師の前では
しどろもどろ、で。
先輩なのに
タメ口を利いている
トコロからして
緊張しているなんて
とても思えなかった。
「はい。
しっかりテーピングも
しておいたから」
おじいちゃん薬剤師が
救急箱を片づける。
「セイのコトを
ご存じなんですか?」
私は
おじいちゃん薬剤師に
話し掛けた。
「セイは有名人だからね」