嫌な席から
抜け出すときに
よく使ってた。
「セイに電話を掛けに行く
つもりなんですよね?
それも
セイの入れ知恵ですか?」
「……」
「もしかして
セイの
シナリオにないセリフは
言えない、とか?」
「……」
どうやら
図星、だったみたいで。
テルさんの額から
どんどん
汗がにじみ出てくる。
「ホテルの名前
教えてくれますよね?」
「……」
「…足、痛いな〜」
「…わかったよッ」
私の意地悪な詰問に
テルさんが開き直った。
「ホテルの名前は
そのまんま!
あのネットのページは
本物!」
えッ。
「ニセページってコトにして
元のページを再生するから
待ってて、って
トーコちゃんを
ネットカフェに足止めする
計画で」
セイのヤローッ。
姑息な作戦をッ。
…よく考えたらそうなのだ。
パパの元に行くと決めてから
セイは私と
ずっといっしょにいて。
その間、誰とも
連絡を取ってなかった。
ニセページ制作を依頼する
時間なんて
どこにも
なかったハズで。
「あ〜!
私って、なんておバカ〜!!」
私は店を飛び出したッ。