乱れ咲き♂017


「そこまでよッ!」

「!?」


甲高い声とともに

人間が私のカラダから
犯人が引っ剥がされて


「ジュナさんッ!?」

振り返ると

ジュナさんが
犯人の左手を
後ろ手にネジあげていてッ。


「この腕を
へし折られたくなかったら

その子のアタマから
手を放しなさいッ」

ジュナさんが
おおきな声でタンカを切るッ。


「…くッ」

犯人の右手が私を解放した。


ジュナさんに
掴まえられていた
左手には

パーティーでよく使う
声質を変えるガスボトル。


てっきり
ナイフか何かで
背中を脅されているのだと
ばかり
思い込んでいたから

抵抗せずにいたのにいいい。


何か悔しいッ。


「とうとう
シッポを出したわねッ」

このチャンスを
待ってたのよ!、って

ジュナさんが

パーカーを深く被っていた
犯人がつけていた
紙で出来たお面を

剥ぎ取ろうとした。


ジュナさんよりも
背が低くて

華奢なカラダ。


あの爆発も
こんなオンナが
ひとりでやったのだろうか。


私も顔を
拝んでやろうと
固唾を飲んで見守った。

のに。


「…トーコちゃ…」

「え?」

ジュナさんが
私の名前を
口にしたかと思ったら


お面に掛けていた手を

引っ剥がすどころか

ゆっくりと
放してしまうッ!!!!


さらにネジあげていた
犯人の腕まで解放して。


「ジュナさ…」

チャ。


その独特の金属音に

私は自分に拳銃が
向けられているコトに

初めて気づいた。