「…本物、ですか?」

私が口を開いたと同時に

銃口が
私のコメカミに
あてがわれ


「ですよねええええッ」

反射的に
顔がお愛想してしまうッ。


法治国家・日本でッ。

一般国民が
拳銃を向けられるなんてコトが

あってもいいモノ
なのかああああああああ。


犯人はまたガスを吸って

「クローズ・ユア・アイ!」

そう言って

私達に拳銃を向けたまま
後ずさりし始めた。


「クローズッッ!!!!!」

「トーコちゃんッ
目をつぶるのよッ!」

「あ、はいいッ」


長い構文の英語なんて
わかるワケもなくッ。

ジュナさんに
言われた通りに

私も目をつぶるッ。


もう、イヤだッ。


何でこんな恐い目にッッ。


鼻からはポタポタと
血が流れ落ちてきて。

ずり向いたオデコも
ヒリヒリするけどッ。


取りあえず
まだ生きているんだって

皮肉にも痛みが
私に教えてくれていた。


さわさわと
木の葉が揺れる音。

遠くで
車の音がする。


どこにでもある
公園での日常の音。


「…トーコちゃん」

「あ…」


ジュナさんに揺り動かされ

私は目を開けた。


「ジュナさんッ
犯人はッ!?」

「そんなコトより
トーコちゃんの傷よッ」

「あ…」