乱れ咲き♂018


「おうッ、おうおう
おう〜う、おうッ」

…カラダが揺れる。


「おお〜う、おッ、おッ」

調子っぱずれなリズム。


「おおおおお〜ううううう」

野性児のシャウトに


「……」

否応なしに
私は目覚めさせられた。


おおきなベッドの上。

野生の少女が
ぴょんぴょん、と
飛び跳ねていて。


…ジュナさんが
運んでくれたんだろうか。


「トーコッ。これッ」

野生の少女が
ジュナさんの書き置きを
私に手渡す。


…ずっとこの紙を
握りしめていたのだろうか。

紙の端3分の1くらいが
クシャクシャになっていて。


「トーコは
漢字ッ、読めるのかッ」

「……」

それは相手が私だから、の
質問なのか。

単に、自分が
読めないから、なのかッ。


「……」


【すぐに戻ります。

誰も来ないとは
思いますが

私が帰るまで
居留守を使ってください】


簡単な走り書き。


…ジュナさん
どこに行っちゃったんだろう。


「まさか
あの犯人をまた
おびき寄せようと思って

外に出てるんじゃないよね…」


「トーコ、腹へったぞッ」

私の心配など
気にもせず

マイペースな
野生の少女ッ。


どこかから
ルームサービスの
メニューなんか
見つけてきててッ。


「…ジュナさんが帰るのを
待ってようね」

私は少女を言い含める。