「それ、もしかして
テレビのリモコン?」

「おう?」


…そうだよね!
テレビくらいあっても
おかしくないよねッ!


だけど

見渡す限り
それらしいモノはなく。


「どこかに
隠して収納してるのかな?」


私はソファーの正面にある
おおきな家具に近づいた。


観音開きの扉が
3段になっていて

真ん中が一番大きい。


「テレビが
収納されているとしたら
ここかな」


私は
扉に掛かっていた
ドアストッパーのような
カギを外す。


「…おおきいけれど
随分古いテレビだな」


この部屋も
『彼』が死んだ当時のまま
時間が
止まっているのだろうか。


「映るのかな?

ケンちゃん
そこのリモコン取って…」

あれ?


「ケンちゃん?」


いない???


…ウソッ。

「ケンちゃんッッッ!?」


静かな部屋。


シーンとして

この部屋には


「私だけ…???」


ダンダンダンダンダンッ!!!

「きゃああああああああ」


テレビの入っている
家具が凄い勢いで
音を立てていてッ。


その家具の上段部が

野生の少女が
「おにいちゃん」と
指さしていた場所だったと

この瞬間に
思い出すなんてええええ。