オカルトハウスじゃ
あるまいしッ。


霊の分際で
こんな明るい部屋に
出没するなんて

間違ってますからッ!


パニックする私のコートが
後ろからふいに引っ張られ


「ひいいいいッ」


叫びが声にならないッ。


「あろ〜お?」

「!!!?」


「おにいちゃんッ。

トーコに電話、替われ、って
うるさいぞッ」


いつの間にか
部屋に戻ってきていた
少女が

また私にケータイを
差し出してきてッ。



…冗談じゃないッッ。

霊界となんて
交信したくはありませんからッ。


私はアタマを
ブンブンと横に振って
拒絶したッ。


「トーコは
嫌だ、とホザいているぞッ」


そんな誤解を招く
報告の仕方は

勘弁してくださいいいいい。



ガタガタガタッドガッ!!!!


家具の中から
さらにまた
おおきな音がしてッ。


「…おにいちゃん、怒ってる」


誰が
怒らせたんですかああああ。


野生の少女が
私にケータイ電話を
押しつけて

「ひょええええええッ」


観音開きの扉に手を掛けて
テレビ台を足場に

少女が
ガタガタと音がする
扉のカギを
開けようとするッッ!


「止めなさいいいいッ」


私は少女を抱きかかえて
阻止しようとしたのにッ。


カチャ。


少女は
簡単にカギを外して


扉が開いたッ!!!!!