…ここは
犯人にやられた、って
言わない方がいいのかも。
今、セイを
逆上させるワケには
いかない。
相手は
拳銃を持ってる。
だけど
プライドの高いセイは
そんな相手を恐れずに
逆襲するコトを
考えるに違いなくて。
なのにッ。
「…エッチなコトでも
考えてて
鼻血でも出したのか?」
って。
私は思春期のオトコノコでは
ありませんッッ!!!
「俺とのSEXでも
思い出してたとか?」
「…んなコト
あるワケないでしょッ!!!
この鼻血は壁に…!」
ハッ。
「…壁に
叩きつけられたのか?」
セイの誘導尋問に
見事に引っかかる。
「違うッ!
壁にぶつかって…!!」
なんて
言い訳しても
もう遅い。
「よそ見をしていて
ぶつかってしまうのなら
片頬か前頭葉をぶつけるのが
普通だろ?」
「たまたま出っ張りが
あったからッ」
「……」
セイが私のアゴを掴んで
おおきく口を開けさせて。
「壁にぶち当たる瞬間
歯をくいしばってたんだろ。
口の中はキレイなモンだ」
…セイの指摘が鋭すぎて。
「もう一度、訊くぞ。
おまえは
誰に襲われたんだ?」