「…たぶん
知らないオンナのヒト」


背は
これくらいだったから、って

私は立ち上がって
犯人の背を示した。



「…犯人はハイヒールでも
履いてたか?」


「ハイヒールじゃなかった。

マニッシュな
パンツスーツだったような
気もする」


「ツメは?
ネイルとかしてたの?」


そういえば

「…白い手袋してたかも」


「手袋してたなんて

トーコのクセに
よく覚えてたな」


「だって
拳銃向けられたからッ」


…あ。


ヤバいッ。

要らないコトまで
言っちゃったかもおおおお。


「…拳銃ってどんなヤツ?」

「いや、あのッ。
モデルガンかもしれないしッ」



「銃口が真っ黒だったんだ?」


「そうッ!

確かにまっ黒だったッ」


何だ、ホントに
モデルガンだったんだあああ。


よかったあああああ。


そうだよね。

ここは法治国家
日本だもんねッ。


「その銃って
西部劇に出てくるみたいに
横がくるくる回るタイプ?」

「そう、そう!」


「だけど西部劇のより短めで
握っているトコロが
全部手で隠れてしまうくらい
短かっただろ?」

「そう、そう!」


やっぱり
モデルガンだったんだッ。


「M60だな」

「え?」


「ニューナンブ。

日本の警察や皇宮護衛官
海上保安官なんかが持っている
ホンモノの拳銃だよ」