「そこの白いボトルに
入ってるだろう!」
セイがオトナ気なく
怒鳴り返しててッ。
「おおうッ?
おおッ」
ソープを見つけたらしい
少女は
「おうッ、お〜、お〜♪
お〜、おッお、お〜♪」
何やら
怪しげな歌を歌い出して…。
「お〜お〜お〜、おッお〜♪」
バンッ、バンバンッ!
「…何の音だろ?」
「気にするな」
こっちに集中してろ、って
セイが
私をバスルームの扉に
押しつけるようにして
唇を貪ってくる。
けど。
「お〜、お〜、お♪
おッ、お、お〜♪」
どこかで聴いたコトのある
この調子っぱずれな
フレーズが
気になって。
「お〜、お〜、り〜んずッ!」
あ。
「ねえ!
この子が口ずさんでるの
まり〜んずの
応援歌じゃないッ!?」
もやっとしていたアタマに
解答が閃いて
思わず
私はガッツポーズを
してしまっていた。
「……」
あ…。
セイが冷やかな目で
私を見ていて。
バンッ、ドコドコッ!
「おうッ、お〜、お〜♪」
バスルームから
聴こえてくる騒音が
ふたりの間の空気を
ますます気まずくするッ。
ドオン、ドオン、ドオンッ!
「…大丈夫かな、あの子ッ。
ねえ?」