乱れ咲き♂004
「もうちょっと
やさしくしてくれても
いいのにさ…」
セイが
私に蹴りつけられた顔を
マクラに埋めながら
ちいさく愚痴った。
「当たり前でしょッ!
眠ってる人間のパンツを
脱がすなんてッ!」
顔面に
蹴りを入れられるくらい
かわいいモノだッ。
「…だってさ」
セイが恨めしそうに
ちらり、と私を見る。
夜中に誰かが
自分の布団の中に
潜り込んできたから
「てっきり
トーコだと思って
嬉しくて抱きしめたら」
野生の少女で。
「どうして
トーコのベッドじゃなく
俺の、なんだ、と思ったら
ムカついてきて」
少女を置いて
私に抗議にやってきたら
「俺に気づきもせずに
自分だけ平和そうに
爆睡してるじゃないかッ」
「だからって
パンツまで
脱がすコトはないじゃないッ」
「俺の嫌いな
キャラクターつきパンツを
穿いてたッ」
…だだっ子みたいな
自分勝手な言い訳に
コトバを失うッ。
だいたい
パンツをいちいち
チェックしてるコト自体
おかしいだろ〜がッ。
ここは
やはりビシッと
注意しておかないとッ。
そう思ったのにッ。
「…うん、ママ…」
なんて
少女が寝返りを打ちながら
また、寝言を口にして
出鼻を思い切り挫かれた。