セイが
一瞬、暗闇に包まれた部屋を

黄色い電気に切り替える。


「あの駄犬。

真っ暗闇が苦手らしくて

声も出ないくらい
恐がっていたみたいだから」


え?


「ほら、父さん達
いつも寝るとき

自分達の寝室を
真っ暗にして寝てるだろ?」


夜中に目が覚めたら
真っ暗だったから


「恐くて
電気のついた部屋を
探しまわってたみたい」


…私も今日は
真っ暗なまま眠っちゃってた。


セイはいつも
真っ赤なフットライトを
点けっ放しで寝てるから

少女がセイのベッドに
潜り込んでも無理はない。


「せっかくベッドを
譲ってやったのに」


のこのこ
ついてきやがって、と

セイが
指で銃をつくって


「BA〜M!」と

少女を打ち抜くマネをした。


「ご丁寧に
電気まで
自分で点けちゃってさ」


今度は

部屋の出入り口の
電気のスイッチの下にある
ローチェストを

指さして。


「あ…」


ローチェストの引き出しが
全部引き出されていて。


「階段代わりにして
電気点けたんだろうな」


まるで猿だな、って

セイはバカにしてるけど。


…ヒトがいる
明るい部屋のベッドを求めて

必死だったんだろうな、って
思ったら

そんな少女が何だか不憫で。