「なら、俺がこの駄犬と
ここで寝るから」


トーコは向こうへ行け、って
どういう理屈だッ。


「…朝起きて

悲鳴あげられて
噛みつかれるのが
オチだから」


「じゃあ、コイツには
猿ぐつわしておこうかな」

セイが自分のポケットから
何やら取り出して。


まさか
子どもサイズの
SMグッズ!?


「オトナ用は
ちょっとサイズが
おおきかったかな」

って


当たり前でしょおおおおお。


「子ども相手に
無茶なコトはしないでッ」


私はセイの肩を
ぐいん、と後ろにどかして

イタイケな少女の
レスキューを試みるッ。


「あれ?」


てっきり
ホンモノの猿ぐつわだと
ばかり
思っていたのにッ。


「…セイ。
オノレというヤツはッ」

わなわな、と
私のコブシが震えて。


「なかなかファンシーな
猿ぐつわだろ?」


”ファンシー”なんてコトバ
今やパパでも
使わなくなってるのに

セイのそのオヤジ感覚。

形成環境に
おおきく問題を感じるぞッ。


「…子どもの顔に
私の脱ぎたてパンツを
被せないでくれる…」

「おう?」


セイが野生の少女の
口ぶりをマネしててッ。


「……」

私はそんなセイを
あえてスルーして


少女の顔から

レスラーの覆面と化している
自分のパンツを
引っぺがした。


「そのパンツ、穿くの?
穿いちゃうの?」


「……」