乱れ咲き♂005
「おう〜、お、お〜うッ!
お〜、お〜、お〜うお!
お〜〜〜う♪」
「……」
今日の目覚めは
最悪だった。
波打つベッド。
きしむスプリング。
船酔いする夢。
「お〜うお〜、お、お、おッ♪」
黒いカモメ軍団に
夢の中で襲われる…。
「おう?」
観念して
布団から身を起こした私に
野生の少女の目が輝いた。
「トーコッ!
マユミが
いい加減起きろと
ほざいてるぞッ」
…この子に
日本語を教えたヒトの
顔が見てみたい。
「まだ目覚ましも
なってないのに…」
ギリギリまで
寝ていたかったのに…。
「ってッ!!!!!」
うっそおおおおお!!!!
「何でえええええ!?」
ケータイの電源が
またしても
切られていてッ。
「今、何時ッ!?」
「テ〜ン、オクロうッ」
少女が
小さな指を10本広げる。
「…テ〜ン、って10時?」
「おうッ」
…完全に遅刻だ。
私は大急ぎで
制服に着替えて
身支度を整えるッ。
「ママッ。
どうしてもっと早くに
起こしてくれなかったの?」
「あら、だって
トーコは
島から帰ってきたばっかりで
疲れてるから、って
セイが…」
リビングに
洋服を散らかしながら
ママが答える。
「…どうしたの、これ」