「ねえ、ねえ
このお洋服なんか
この子にどうかしら」
どうやらママは
公園に着て行く服を
吟味していたらしくッ。
「母さん。
それじゃ
遠くから見て
この子だとすぐに気づかれる」
「でもフリルの服とか
全ッ然、似合わないし」
なんて
カフェ・オレを
持ってキッチンを出てきた
セイと
ママはのん気に
話してるけどッッ!!!!
「誰に命を狙われてるかも
わからないのにッ!!」
外に連れ出すなんて
「あり得ないでしょおおおお!」
「でも、家の中に
閉じ籠めたままなんて
かわいそうじゃない?」
「雨の日だと思えばッ」
「あんまりストレス
溜めさせると
ホントの野犬になるぞ」
セイは
クロワッサンを頬張る
少女の背後から
ぐわし、と
髪の毛を鷲掴みにしてッ!!
「!?」
ブラシを掛け始めた。
「セイはホンット器用よね」
あれよあれよと
いう間に
真っ白なベレー帽の中に
髪をまとめて入れ込んだ。
「特徴的な剛毛は隠せても
さすがにガニ股だけは
誤魔化せないな」
…見た目はすっかり
オトコノコ。
「ほらトイレ行ってこい」
セイの命令に
「おうッ!」
野生の少女は
従順に従っているけれどッ。
「本気!?
警察のヒトに
許可貰った方が
いいんじゃないの?」
「…たぶん
この子は大丈夫だから」
って
「何を根拠に
そんなコトッ!!!」