「あの子の瞳が

ここに貰われてきたばかりの
俺の目に

似てる、って言うんだよ」


「……」


「父さんも、母さんもさ。

バカみたいに
いいヒトだから」


このちいさな子どもを

これ以上
不安にさせるなんて

とてもじゃないけど
出来なかったんだろう。


捨て犬のような
不安いっぱいの瞳。


自分も
こんな目をしていたなんて
思ったら


「反対、なんて言えなかった」


セイは
消え入るような声で
そう呟いて

パソコンの電源を切った。


…そんなセイに
何て言えばいいのか

コトバが
見つからなかったから。


私はセイに
手を差し出した。


「ほら、あの子が
待ちかねてるよ!」


「…ああ」

セイが少し笑って
私の手を取ったけど。


女性にしか見えない
セイのその姿に

思わず苦笑する。


…オトコの姿だったら

躊躇なく

キスのひとつも
してあげたんだけどな。


しっかりと握った
セイの手。


少女の待つ玄関へと
ふたり急いだ。


この外出が

事件を新たに
おおきく動かすコトに
なろうとは

夢にも思わなかったから。





百花繚乱☆乱れ咲き

乱れ咲き♂005

≪〜完〜≫


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