乱れ咲き♂006


外国のシネマ女優みたいな
サングラス。

ただでさえ
物凄いオーラを
漂わせているというのにッ。


どこまでも完璧主義なセイは
どこで手に入れたのか

子ども用のサングラスまで
用意しててッ。


エレベーターの中

不審な性別の人間が
ふたりッ

ポーズを取って
澄まして並んでる、けどッ。


「…何かこ〜ゆ〜の

と〜っても目立ってしまうと
思うんですけどッ」


「目立った方がいいんだよ」

「いいんだよッ」


セイのポーズだけでなく
セリフまでカヴァーして。


「トーコってば」

おバカだからさ〜

なんてッ。


仲良くハモってるッ。


…アンタ達。

ケッコー
気が合ってるじゃないッ。


「トーコも素直に
俺が用意したコスチューム
着ればよかったのにさ」

本当は
着たかったんだろ、って


ふたりで
私のコートを引っ張った。


「…誰がッ」


私みたいな鼻ぺちゃが
そんなでっかい
サングラスしたら

いい笑いモノだって

自覚くらいは
ありますからッ。


毛皮だって
セイくらい身長があったら
カッコいいけれど。


ハイヒールで
より一層遠くなった
セイの顔を見上げてしまう。


「……」

…どの角度から見ても
本当にキレイだよね。


その美しさに
思わず嫉妬する。