セイは私のカラダを
置き捨てて
野生の少女の後姿を
追いかけた。
「コレだから
外になんか連れ出したくは
なかったのよおおお」
ハイヒールのセイを
追い抜いて
私は少女に必死で
追いすがるッ。
「何て足の速いッ」
追いかけっこでもしている
つもりなのか。
私の呼びかける声にも
反応しない。
公園の入り口近く
真っ赤なスポーツカーが
目に入ってきて。
「まさかッ」
スポーツカーのドアが開いて
運転席から
サッカーボールを手に
野生の少女にアピールする
人物の影ッ。
「うそおおおおおおッ」
まさか
犯人がッ!?
「その車に近づいちゃ
ダメえええええええ!!!」
野生の少女が
一目散に駆けて行く。
サッカーボールなんか
いくらでも
買ってあげるからああああ。
私は自慢の健脚を
飛ばしたのにッ。
「ジュナッ!!!」
え。
少女は
運転席から出てきた女性に
飛びついて。
「迎えに来るの
遅くなってゴメンッ」
少女に
「ジュナ」と呼ばれている
そのヒトは
そんな少女を
しっかりと抱きしめる。
…知り合い?