少女の指さす向こうには
とぐろを巻いたデザインの
確かに”うんこ”にも
見えなくもない
コンクリート製の
おおきな滑り台があって。
その滑り台の穴の中に
セイが
ジュナさんの上半身を
引きずり込もうとしていた。
「ひえええええええッ」
ごめんよおおおお。
子どもなんて、と
バカにしてええ。
おね〜さんを
許しておくれええええ!!
私は
毛皮で少女を包んで
セイ達が待つ
”うんこ”の中に雪崩れ込む。
「何トロトロ動いてるんだッ」
セイが真っ青な顔で
私を怒鳴った。
セイは私と野性児を
穴の奥に詰め込むと
自分の履いていた
ハイヒールの片方を
私に渡して
「誰かが襲ってきたら
それで応戦しろ」って
無茶を言うッ!!!!
「できないよッ」
「ヒールの部分で
相手の目を、迷わず狙え」
そんな恐ろしいコトを
求めないでくれええええ。
なのに。
「おうッ!」
なんて。
自分の靴を
私達のマネして握ってる
この少女の
アタマの切り替えの
早さといったらッ。
さっき
ジュナさんに見せていた
健気なナミダは
どこに消えたんだあ。
「ジュナさん、ジュナさん」
セイがジュナさんの
頬を叩いて
呼吸を確認している。
「…生きてるよね?」