「前傾姿勢で倒れてたし

後頭部にも
損傷らしい箇所はない」


頭部が大丈夫だから
安心しろ、って

セイが全てを説明する前に


「あ…」


ジュナさんの意識が戻った。


「大丈夫ですか?

この非常時に
アナタは
気を失ってたんですよ」


セイが冷やかな声で

ジュナさんを
遠回しに責めているッ。


「…あの子はッ!?」


「ダケンならここだぞッ」

野生の少女が
まんまるお目目で
自己アピールして

ジュナさんを
覗き込んでいるけれどッ。


「”ダケン”?」

「おうッ」


少女が自分のコトだと
指さそうとしたのを

私は必死で
阻止をしたッ!!!


「…人気歌手の
ダ・ポンプのケンが
カッコイイからって

自分のコトもそう呼べと
しつこいんですよ」


セイがワケのわかんない
説明を始めててッ。


「カッコイイから
”ダ・ケン”なんだよな」

「おうッ」


「……」

そんな
その場しのぎの言い訳ッ

いつかはバレるからッ。


「怪我はありませんか?」

セイの背後から
穴の中を覗き込むように

女性が
警察手帳を提示しながら
話し掛けてきて。


ほおおおおおおおッ。

「…助かった」

みんなで胸を撫で下ろした。


「…犯人は
捕まったんですか?」


セイが
訊ね終わらないうちに


私の背後から
ごっつい腕が伸びてきて。


「うおうッ!?」


野生の少女が

反対側の穴から
オトコに
引き出されそうになって


「セイイッッ!!!!!!」

私は少女の足に
しがみついたッ。