セイが私のカラダを
乗り越えるようにして
犯人のヒザを抱え込んで。
「うあッ」
少女を抱いたまま
巨体が倒れたッ。
「おうおうおうおう、おうッ」
少女が
持っていた靴で
オトコの顔を
激しく連打するッ。
「お、おいッ、やめッ」
オトコは堪らず
ポケットから
何かを出そうとして。
ガシッ!
後ろから回り込んでいた
ジュナさんに
ヒジを踏みつけられた!
「あおッ…ッ!」
声にならない痛みで
オトコが転げまわっていて。
「ニッタくんッ!」
大丈夫?、って
女性警察官が
そのオトコのカラダを
起こした。
「……」
「……」
「……」
…よく見ると
見覚えのある
このオトコ…。
タコ焼き屋の前で
事故の目撃者情報を
集めていた…あの…。
もしかして
「刑事さん…?」
「…そうだよッ」
ポケットから
出そうとしていた
それは
紛れもなく警察手帳で。
「ごめんなさいッ」
てっきり
犯人が
拳銃かナイフでも出すのかと
思ったからッ、って
ジュナさんが
両手を合わせて
平謝りしていて。
セイは我関せずと
言わんばかりに
そっぽを向いていた。
…おいおいおいッ。
相当な痛みなのか。
オトコの額から
見る見る汗が
吹き出してくる。
「あ、ハンカチをッ」
使ってください、と
差し出し掛けて
私は思わず
手を引っ込めたッ。