私は膝の上の少女を
押し出すように
穴の外にいたジュナさんに
差し出して。
そのまま
何もなかったように
穴の外に
出ようとしたのにッ。
セイが
私のコートの襟首を掴んで
ぐいんッ、と
穴の奥に引っ張り込んでッ。
仰向けになった
私のカラダ上を
むぎぎゅぎゅ〜って
痛くしながら
セイはひとりで
穴の中から這い出したッ。
「…サディストッ」
「おう〜いッ。
生きてるのか〜ッ」
穴の中を覗き込んでくる
慈悲深き
そのおおきな目。
…今の私にやさしいのは
アナタだけですッ。
野生の少女よッ。
「おらッ、いったん
ウチに戻るぞッ」
少女の後ろから
甘えるな、って
言わんばかりに
ギラリ、と眼光鋭く
セイが
私を覗き込んでくるッ。
…私が何をしたって
ゆ〜んだッ。
セイの嫉妬深さは
毎度毎度のコトだけど
今回
いつもと
少しばかり違っていたのは
セイが
私にヤキモチを妬かせようと
しているコトでッ。
事情聴取の為
覆面パトカーに乗せられて
大破した
スポーツカーとともに
警察署に連れていかれた
ジュナさんを見送った後
私達3人は
マッチョなニッタ刑事に
護衛されて
帰路についていたのだけれど。