マンションに着くまでの
道のりを
セイは
野生の少女を抱っこしながら
これ見よがしに
ちいさな唇に
キスをしていてッ。
「うほほほほッ」
少女が
みょ〜な興奮を
覚えているッ。
「…セイッ。
警察のヒトが睨んでるよッ」
「ふんッ」
なのに
セイってば
どこ吹く風でッ。
「…幼児ナントカだって
を疑われたら
補導されちゃうからッ」
「小児性愛、だろ?」
…いちいち訂正するトコロが
憎たらしいッ。
だけど。
この刑事さんも
さっきから
セイのこの
やりたい放題状態を
注意をするワケでもなく
笑い飛ばしてくれる
ワケでもなく。
…真面目なヒトなんだな。
自分の顔を
マジマジと見ていた私と
目が合うと
ニッタ刑事は
真っ赤な顔をして
そっぽを向いた。
…ニッタ刑事の手には
大事そうに
私のハンカチが握られていて。
まさか、だよね。
このヒトのアタマの中は
私のコトでいっぱいで。
私のコトが
気になって気になって
仕方なくて。
それで
セイのお戯れなんぞ
眼中にないのかも…。
なんて。
そう考えたら
確かに
ツジツマが合うけれど。
「私なんかが、まさかね〜」
だけど
何か悪い気はしないかもッ。