勘のいいセイが
そう思うんだ。
きっとニッタ刑事は
私のコトが…
ス、キ。
「うふッ。うふふふふッ」
いかんッ。
顔がニヤケてしまうッ。
「おいッ。顔が赤いぞッ」
足元にまとわりつく
野生の少女を
抱き上げて
ぎゅううううううう。
私は
セイ達に背中を向けて
少女を抱きしめ
秘かにひとり、ほくそ笑んだ。
「…ふたりとも、だ」
背中越しに聴こえてくる
ニッタ刑事の声が
少し尖がって。
…もしかして
ニッタ刑事ってば
こんなちいさな子にまで
嫉妬してるのかなッ。
きゃ♪
どうしよおおおお。
嫉妬深いオトコって
面倒なのは
嫌という程知っているッ。
ニッタ刑事。
お気持ちは
嬉しいけれどッ
私にはセイという
立派なフィアンセがッ。
なのにッ!
「トーコ
おまえのケータイ、よこせ」
って
私のコートのポッケに
手を突っ込んできてッ。
「赤外線通信
できますよね?」
私のケータイと
自分のケータイを
二丁拳銃のようにして
ふたりのケータイの情報を
ニッタさんのケータイに
送っているけれどッ。
「ちょっと待ってッ!!」
「何?」
もう送っちゃったから、って
セイがニッタ刑事の
おおきなカラダを押し出して
強引に
玄関のドアを閉めた。
そんなあああああああ。
「私のメアドって
セイが
イタズラしたままじゃ
なかったけえええッ!?」