「ああ。そうだな」


そうだな、ってええええッ!


いやああああんッ。


「私ッ
削除して貰ってくるッ」

私は少女を
セイに押しつけて

玄関ノブに手を掛けた。


「行かせない!」


セイが少女を抱いたまま
私の行く手を

その長い腕で阻む。


「何する…うぐッ」


セイの舌が
私の口腔を激しく浸食して。


「やッ」

逃げようとする私を
玄関のドアの隅に追い詰める。


「おまえは
おれのやるコトに

いちいち
口を挟むんじゃない!」

私のアゴを持ち上げながら


俺様・セイが

暴君になる。


「おかえりなさい。
早かったのね〜」


何も知らない
ママが部屋の奥から出てきて。


「ケンちゃん
楽しかった?」

「おうッ」


野生の少女が
セイの腕の中から
飛び降りた。


「手を洗って
ウガイをしましょうね」


「おうッ」


ママが
少女に手を引いて

廊下の奥に消えていく。


「……」
「……」

気まづい空気。