乱れ咲き♂008
「おういッ!
どうした、引きこもりかッ」
ドアを開けろと
野生の少女が
セイの部屋の前を
通りがかる度に叩いている。
ママが
少女をなだめようとして
「おにいちゃんは
お勉強してるから」
なんて、凡ミスッ!!!!
「引きこもってるのは
金髪ね〜ちゃんッ」
野生の少女は
しっかりと
相手の間違いを聞き逃さない。
「あ。そ、そう?
そうだったかしらね」
動揺してるママに向って
「どうしたッ。
もう老いぼれたのか」
少女が
本気で心配そうに
ママを覗き込んでいて
…思わず苦笑した。
「何かママ
こ〜ゆ〜の、疲れるわ」
キッチンで
昼食の片づけをしていた
私の横にきて
ママが溜息をつく。
「セイは結局
どちらの性別で
通すつもりなのかしら」
「…さあ」
セイなんて
秋の空より気まぐれで
「気分次第、ってトコじゃ
ないのかな」
本当に予想もつかない。
「ああ〜、どうしよう。
どうしましょう〜」
ママは
そんなのどかな悩みに
苦悩しているけれど。
ほんの数時間前
あんな大変な目に
巻き込まれていたのが
ウソみたいに
なんと
我が家は平和なコトか。
やっぱり
我が家のムードメーカーの
ママが
何も知らないってゆ〜のは
おおきい、よね。
ママってば
汚れたベレー帽も
「砂遊びしてて」で
納得してたし。
深く疑うコトを
知らないってゆ〜か。
最悪のコトなんて
考えたりしないんだ。