ふたりで
スーパーに入って

セイが片手で
買い物カートを押しながら


「それは200g入りのやつ」

「そっちは赤ラベルの方だ」

ママが出掛けに
リクエストしたモノを
指さして

私に
カゴに入れさせる。


「…セイってば

1度聞いただけで
よく覚えられるよね」


「おまえは自分を基準に
モノを言いすぎる」


トーコにかかったら

世の中
天才だらけに
なっちまう、って。


…かわいくないッ。


「あ、俺
プリン、食いてえ〜」


セイがオコチャマみたいに
プリンのコーナーに
立ち止ったまま

動かない。


「…買えば?」


「こんなモノ
買って帰ったら

あのガキが喜ぶかと思ったら

どうしても手が出ないッ」


…自分の分だけ
入れればいいのに。


買うなら人数分だ、って
思い込んでいるあたり

ヒトがいいんだか
悪いんだかッ。


…だけど

セイのこのマヌケさは

結構好き、かも。


「何笑ってるんだよ〜」


セイの唇がとんがった。


「俺達ってさ。

今、緊張を強いられてる
状況下にいるんだって
わかってるのか」


なんて

口ではエラそうなコトを
言っているけれど。


「プリンは
私が買ったコトにしてあげる」


さらにエラそうな
私のセリフに


セイは嬉しそうに

プリンを5個
買い物かごに入れてて。


「何か俺達
新婚夫婦みたいだな」


セイが
何気なく言ったひと言に

こっちが
赤面してしまう。