「バカなコト言ってないで

さっさと
買い物して帰るからねッ」


照れ隠しの私のセリフ
だったのにッ。


顔を上げると


セイってば
ウィンナーの試食コーナーで

「あ〜ん♪」

妙齢な店員さんに
試食品を
口に運んで貰っててッ。


「こっちも
味見してみたいんだけど」

なんて


神戸牛の
超高級ローストビーフの
パックを開けて
食べさせろ、って

無茶な
おねだりなんかしてるでは
ないですかあああああッ。


「試食させて貰っても

我が家の家計では
とてもじゃないけど
買えませんからッ」


私はセイごと
カートを押して

レジに向かった。


「美味そうだったな〜。
ローストビーフ」


まだ言うかッ。


「トーコのアソコみたいに
真っ赤に色づいててさ」

私を食べてって
俺を誘ってるんだよね、って。


「それ以上言ったら
殺スッッッ!!!!!!!」


レジで
セイにお金を払わせて


エコバッグに入れた
購入商品を持って

私は一足先に
スーパーを出る。


「待てよ〜」

「……」

「パンツ脱がすぞ〜」


「セイッ、アンタねッ。
いい加減に…ッ!?」


振り返った私の唇を
素早く盗んで。


「…俺達
新婚さんに見えるかな」


セイがニッコリ
嬉しそうに笑っててッ。


「……」

その無防備な笑顔に

何故だか
こっちが照れてしまう。