「……」
少女がセイの顔を
しげしげと見つめている。
「ちゅう、した?」
さらに質問を
セイにぶつけてきて。
「したねえ」
セイの返答に
少女の眉がハの字になる。
「俺達、仲良し、仲良し
してたねえ」
セイがどんどん
少女の思考回路を
混乱させて。
「と、ゆ〜ワケで
この子のフォローをよろしく」
なんてッ。
事態を散らかすだけ
散らかしておいてッ
セイは私に少女を託して
自分の部屋に
消えていったけどッ。
「はッ!!」
私のケータイッッ!!!!!
「セイッ!
私のケータイを
悪用しないでッ!!!」
気がついて
セイの部屋のドアを
叩いても
後の祭りでッ。
「おい、トーコッ」
少女に
ショーパンを引っ張られ
ハタ、と正気に戻る。
…ほとぼりが冷めた頃に
この子をもう一度
セイに鉢合わせさせて
セイを困らせてやろうかと
イケない考えが
私を襲う。
だけど
そんなコトをしたら
セイの仕返しは
2倍返しでは
済まないだろう。
…悔しいけれど
セイへの報復は
自分の脳内だけで
終わってしまった。
「ほら、向こうへ行こうね」