「警察とか
あの子の家族とかからの
電話が掛かってきたら

どうするのよ?」


「警察には連絡しておいた。

万が一
うっかり電話に出ないように
電話線も外してきた。


母さんの友達から
電話が来ないよう

ケータイにも
着信拒否を掛けてきた」


セイが早口で
そう言いながら

我が家の郵便受けに

【荷物は管理人室へ
預けてください】って

貼り紙をする。


「俺達の電話は
母さんのケータイに
通じるようになってるから

母さんへの電話は
ケータイへ掛けろ」


セイが
私のコートのポケットに
そっとケータイを
滑り込ませてきた。


…その用意周到さが

ママ達が
危ない環境に
いるんじゃないか、って

かえって
不安を煽られて
いるんですけどおおおお。


「やっぱり
私ッ、家で待ってる」

引き戻ろうとする私に


「犯人、知りたくないの?」


「!?」


セイが意味深なコトを
口走ってッ。


「犯人、知ってるのッ!?」

反射的に聞き返した。


私の問い掛けを無視して

セイは
どんどん先を歩いてゆく。


…いつまで機嫌を
治さないんだかッ。


セイの背中を
黙って見送ろうとする私に


「トーコが来ないと
意味なくなるだろうがッ」

って。

セイが振り向きざまに
怒鳴っていてッ。


…またセイは私を使って
何かよからぬコトを
しでかそうと企んでいるッ。

そう直感したッ。