私は
繋いでいたセイの手を
振り解くッ。


セイが負けじと
私の手を取ろうとして

私も取られまいと応戦した。


「うううううう〜…」

「むむむむむう〜…」


ふたりの間に
睨みあいが続く。


「え〜っと、キミ達。

みんな見てるからッ」


ニッタ刑事が
私達ふたりの間に
割り入ってきた。


広い背中。

オトナの
オトコのヒトの…。

私のコトを
庇ってくれてる。


なんて逞しいヒトだ、なんて

私が思いあがったのも
一瞬でッ。


「セイくん。

キミは子どもで

オトナの世界には
オトナの事情があるなんて

言っても
わからないんだろうけど」


ニッタ刑事が
セイを子ども扱いし始めてッ。


さすがの私も
これはヤバいと
思うぞおおおおッ!


「ニッタさんッ。

私達、今から交番に
あの子の荷物を
受け取りに行くトコロ
だったんですッッ」


ニッタさんのジャンパーの
背中を引っ張って

私は
セイからニッタさんを
引き離した。


「あ、ああ。そうだったね」


えッ。

「実はトーコちゃんから
メール貰ったから
急いで飛んできたんだけど」


…セイのヤツッ。

マジで

私を語って
ニッタさんに

メールなんか
送りつけてたんだッ。


いったい
何を書いたんだッッ。


私はセイを
ひと睨みして

ポケットから
ケータイを取り出そうとした。

のにッ。