「行くぞ、トーコッ!」

私はセイに
アタマを
抱えられるようにして

交番への道を
引きずられていく。


「タマゴッ!
割れちゃうからッ」

エコバッグが
地面すれすれで

私の手からぶら下がっている。


「セイくんッ!
いい加減にしろよ」

ニッタ刑事が
私の手から
エコバッグを保護した。


「トーコちゃんが
我々に連絡してきたのは
国民として当然の義務だから」


当たり散らすのは
お門違いだ、って

ニッタ刑事は
またセイに
説教を始めようとしていてッ。


いいヒトかも
しれないけれど

とっても迷惑な熱血ぶりでッ。


こういう
正義感と結婚したら

私は苦労するかもしれない

なんて


自分の発想に驚いた。


「だいたい

俺達があのガキを
外に連れ出したって
何も起こらないって

警察は
タカを括って
たんじゃないの?」


「……」


「犯人はあのガキの居場所を
早々につきとめていたのにも
関わらず

ジュナさんには警告しても

俺達には見向きもしなかった」


「……」


「ウチで
預かって貰っていた方が安全。

普通ならそう考えるよね」


…セイは
何が言いたいのか。


「…それは」

ニッタ刑事が
初めてコトバに詰まった。


「あの騒動の後

あんなガキでも
ウチの家族に
大切にされているように

犯人には見えたから?」


セイは
私のカラダを解放して

セイの発言に集中していた
私の手を

難なく掴まえた。


「犯人の目的は

あのガキを
孤独に追いやるコト

ってトコなのかな?」


「……」


「図星、なんだ?」