「今日は
非番じゃなかったですか?」
「あんな大騒動が
あったってのに
家でのん気に休んでいる
場合じゃないだろう」
そう答えながら
会釈する私とセイに
ちいさいオジサン刑事は
会釈で答えていた。
「そうだ。
例のモノを取りに
来てくれたんだったね」
オジサン刑事は
交番の制服組に声を掛け
奥からおおきなカバンを
持ってこさせた。
「中を確認してくれる?」
オジサン刑事が
カバンの中を
私達に開けてみせる。
「下着に靴下に…」
チェックする私の横から
セイが腕を伸ばしてきて
「取扱説明書…?」
ちいさなノートを
訝しげに取り上げた。
そこには
野生の少女の好き嫌い
少女に必ずやらせて欲しい
しつけ、お約束
そして
少女の暴言と行動への
諸注意が記されてあって。
「1日早く欲しかったね」
思わず
セイとふたり、苦笑する。
だけど
このノート
若い字だけれど
「あの子のママが
書いたのかな」
「そうじゃないのかな。
何かよくあちこち
お泊まりにいってた
みたいだから」
ニッタ刑事が
どさくさに紛れて
私の肩越しから
カバンの中身を
覗き込んできた。
「あの母親は半分
育児放棄してたみたい
だからね」
「え」