「その場しのぎの
やさしさなら
いらないからねッ」


「だったらトーコ
おまえが自分の目で
確かめたら?」

「……」


私はセイに
疑いの眼差しを
向けながら

ケータイの画面を見た。


「…セイ、アンタ
受信メール
削除したんでしょ?」


ケータイのメアドが
変わってから

「友達からのメールが
1通も来てないのは変だしッ」


「そりゃ、そうだろ」

おまえ、今日は
インフルエンザで苦しんでる
コトになってるし、って。


「だッ、誰が
インフルエンザだってッ!?」


「だから

今日は学校お休みするけど
お見舞いメールは
遠慮してね、って

みんなに
メールしておいたから」


メールが来ないのは
当然だ、と

セイが洗面所を
後にしようとするッ。


「私に学校、ズル休み
させたんだッ!?」


「たっぷり睡眠が
取れたんだ。

俺様に感謝しろ」


信じられないいいいいいッ。


だけど。

「ちょっと待ったッ」


私はセイの背中の
シャツを掴んで


「ホンットおおおに
犯人からのメールは
届いてなかったのねッ!?」


「…見ての通りさ」


よかったああああああ。

思わず安堵から
私はその場にしゃがみ込む。


「セイが、メアド
変えてくれたからだね」


「実はさ。
俺のメアドも昨夜のうちに
変えたんだけどさ」


え。

「犯人は、わずか半日で

俺の新しいアドレスを
入手しているんだよね」


それって。