「あのクソガキの
周りの人間には」

友人、知人
全ての人間に一斉に
脅迫メールを
送りつけてきていた犯人が


「今回に限って
どうしてトーコには

脅迫文を
送りつけてこなかったのか」


…そう言われてみれば
そうだ。


確かに、脅迫なんて

より効果のある相手に
してこそのモノ、で。


セイみたいなオトコノコより
私やママを狙った方が

家族はより動揺するハズだ。


「答えは簡単」


セイは自分のケータイの
液晶画面を
見せつけてくる。


「…セイのプロフィール欄?」

あああッ!!!!


「セイの新しいメアドって…」


「そう。

トーコのフルネーム
そのまんま」


なんでやねんッ。

どないやねんッ。


ど〜して、ど〜して
そ〜なるねんッッッ。


関西弁の三段活用が
アタマの中を支配した。


「個人を特定できる
メアドは危険だって
言ったのは

セイなのにッッ」


「本人が自分の名前を

アドレスに
しているのなら、ね」


セイが
余裕で笑っててッ。


「ここでひとつの
仮説が成り立つ」


セイはまるで
この事件を
楽しんでいるかのようで。


「犯人は
俺のケータイを

トーコのモノだと
勘違いしているんだよ」


「えッ」