「つまり。
ケータイ会社の人間や
ネットのエキスパートが
俺とトーコの
それぞれのメアドを
独自に入手したモノじゃ
ないってコト」
って。
「ニッタはさ。
俺のケータイから送信した
”お出掛けします”メールを
おまえから
送られてきた、って
信じ込んでいたよな」
「…ニッタさんは
セイと私のアドレスを
確認せずに
同時に赤外線通信で
受けとっていたから」
「ご名答」
「……」
セイが
”引っ掛かってきた”って
言ってたのは
このコトだったんだ…!!
「もっとも
ニッタが犯人と通じてるとは
それだけじゃ
言い切れないけど」
少なくても
ニッタ刑事が入手した情報は
「確実に
犯人に漏れているってコトだ」
「……」
セイの断言に
背中が凍りつく。
「警察を信用するな、とは
言わないけれど」
余計な情報は
与えない方がいい、って
セイが私のアタマを
軽くパコーン、っと叩いて。
「しっかりしろよ。
あのクソガキ
守ってやれるのは
俺たちだけ、なんだから」
セイらしくないセリフに
思わず苦笑する。
「…しっかし
あのクソガキ
えらく静かだけど
昼寝でもしているのかね」
「ママ
あの子が寝静まったと
思って
電気消しちゃったり
してないかなッ」
私は洗面所を出て
パパ達の寝室を覗いた。
「あれ?」
いない。
私の部屋にも
セイの部屋にも
あの子の姿が見えなくて。
思わずセイと
目を合わせてしまう。