「あら。ケンちゃんなら
ひと足違いで
ご家族が迎えに来たんで
帰っちゃったわよ」
って
ママがのん気に
掃除機を片づけててッ。
あれ程セイが
「電話に出るな」
「居留守を使え」と
念を押していたにも
関わらずッッ。
「家族って誰ッ!?」
ついつい私も
声を荒げてしまうッ。
「え〜、っと。
何ていったかしら。
パパに聞いたら
わかると思うけど」
「…母さんは
名前も確認せずに
あの子を
引き渡しちゃったんだ?」
「え、だって、ママは…」
トーンを抑えては
いるけれど
セイの背中から
立ち込める不穏なオーラに
さすがの脳天気なママも
自分がしでかしたコトが
とんでもないコトだと
本能的に
察知したみたいで。
「パパから電話があって
その子を渡しなさい、って
言われたからッ」
ママが思いきり
萎縮している。
「父さんが?」
セイは
自分のケータイを
取り出して
どこかに電話を掛けながら
自分の部屋に
籠ってしまった。
「パパに
掛けているのかしら」
…だと思いますけどッ。
セイは
ママのケータイの
パパのアドレスも
着信拒否にするべきだったと
とっても後悔しているに
違いなかった。
何も知らないママを
責めるワケには
いかなかったけれど。
「ねえ。今日
公園で車が爆発する騒動が
あったって
本当なの?」
え。
「どうして、ママが
それを知ってるのおおおお」