「あのバカオンナも
取り調べされて

警察不信にでも
なったのかもなッ」


あのやさしそうな
ちいさなオジサン刑事が
豹変してしまうんだから

取り調べって
とっても恐そうだよね。


「ママ、簡単に信じて
引き渡しちゃったけど
本当によかったのかしら…」


あのママが
後悔で
真っ青になっている。


「ママ。
ママは悪くないから」

私は
傍に近づいてきたママの
背中をそっと撫でた。


「警察に
情報が流れてないなら

その方が
かえって安心かもしれないし」


私はママと自分に

そう言い聞かせようと
したのにッ。


「あんな目立つガキを連れて

日本の警察から
姿を隠し通せるワケなんて
ないだろうが…!」


…セイってば
意地悪でッ。


「もう私達の手から
離れちゃったんだからッ

私達には
どうしてあげるコトも
出来ないんだからッ」


気がつくと

私もママも泣いていてッ。


「わあってるよッ」

セイもおおきな声で

苛立ちを隠そうとは
しなかった。


「策士、策に溺れる、って
こう言うのを
言うんじゃないのッ」

私がクッションで
セイ殴りつける。