「おまえは母さんと
ウチでおとなしく

俺からの連絡を待ってろ」


セイが

エレベーターに
乗り込もうとした
私のカラダを

持っていたカバンで
押し返そうする。


「あの子のコト
私だって心配だもんッ」


「…あんなクソガキなんぞ
どうでもいいッ。

これは
俺のプライドの問題だ」


こんな風に

コケにされたまま
黙っているワケには
いかないって

セイは息巻いているけれど。


「こう見えても私ッ

結構
役に立つと思うんだッ」


私は閉まりかけた
エレベーターに
カラダをねじ込んだ。


「…おまえと
いっしょに行動すると
俺の身が危なくなる」


セイは
足手まといだと
言わんばかりだッ。


だけど。


あの子の
取り扱いに関しては

少なくても
私の方が
冷静に対処できるって

私は言いきれるコトが
出来たから。


「何を今更ッ!」


どれだけの修羅場を

セイといっしょに
乗り越えてきたんだと
思ってるんだ、って

私はおおきく胸を張る。


私のセリフに

「…ふん」

セイがちょっと
私を小バカにして。


ふんわりと
やさしい眼差しに変わる。


「おまえ、本当に
バッカだなあ」

セイの長い指が
私の髪を真上に逆立てた。